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「よくばりな犬、肉をなくす バージョン2」
よくばりな犬は一匹の老いた犬に会いました。その犬は少し弱っており、少しでも元気になりたいと、よくばりな犬に言いました。
「お願いです。肉を少しわけてください」
よくばりな犬は言いました。
「あなたに、これをわけたら何かをしてくれるんですか」
老いた犬は言いました。
「今の私には、何かをする力もあげる物もありません」
よくばりな犬は言いました。
「それじゃ僕は何もあげることはできない」
よくばりな犬はそのまま歩き出しました。老いた犬はそのうしろ姿を寂しそうに見つめていました。
よくばりな犬は川の前で立ち止まり、しばらくすると肉をくわえたまま川を渡りだしました。
よくばりな犬は、ふと川にうつった自分を見ました。犬は別の犬が肉を奪おうとしていると思いました。
(何だこいつは、僕の肉を奪うつもりか!)
よくばりな犬は川にうつった自分をにらみ、奪われる前に奪ってやろうと川にうつる自分に吠えます。
「あっ!」
その瞬間、肉は川におちて流れていってしまいました。よくばりな犬は何がおこったのかわからず、肉が流れた川を見つめていました。
しばらくすると肉をくわえた犬がやってきました。よくばりな犬はとっさに言いました。
「まて!その肉は僕の肉だ!かえせ!」
肉をくわえた犬は立ち止まりよくばりな犬に言いました。
「私が見つけた肉です、欲しければかわりを私にください」
よくばりな犬はおぼえのある言葉に驚き、何も言えませんでした。しばらくすると肉をくわえた犬歩きだしました。
そして、よくばりな犬は見てしまいます。少しはなれた道をみおぼえのある老いた犬とさきほどの肉をくわえた犬が仲良く歩いているのを。
よくばりな犬がなくしてしまったのは食べ物か、それとも…。
気がつくとよくばりな犬の両目にはおおつぶの涙がながれていました。